Spicer Consulting 社製
磁場キャンセリングシステム
SEM FIB/SEM TEM
SC24 AC-DC磁場キャンセリングシステム
SEM,TEM/STEMの高性能化による環境条件への高度な要求
近年の電子顕微鏡の性能の向上は目を見張るものがあり、SEMの場合は低加速電圧時の画像分解能の向上や選択的な信号検出、TEMに至っては収差補正コレクターやモノクロメーターを装着した機種が増ええています。これだけの高性能で多機能な電子顕微鏡の性能を十分に引き出すためには、きちんとした電子顕微鏡の設置環境を整える必要があります。
欧米の電子顕微鏡施設の場合には、十分な設置スペースを確保し、音響・振動・磁場の環境の全てにおいて十分に電子顕微鏡が求める仕様を満たすことが比較的容易ですが、日本のように狭い設置スペースを効率的に使うことが求められ、かつ都市部では社会的インフラの基幹である鉄道網が非常に発達している中では、さまざまな障害が電子顕微鏡の設置室で観測されています。
既に一般的なアクティブ型の防振台と同様に、アクティブ型の磁場キャンセリングシステムは、電子顕微鏡のビーム付近で測定された磁場の向きに対して、逆向きの磁場を測定された量だけ発生させることにより、電子顕微鏡のビーム経路上への磁場の影響を限りなく軽減させる装置です。
磁場の種類にはAC磁場、DC磁場があり、それぞれに適した機種が準備されています。
FIB/SEMの場合のルームケーブルの設置
SEMやFIB/SEMの場合のルームケーブルの設置は、図のようにX,Y,Z軸のケーブルにより装置を取り囲む形でケーブルを配して設置室の壁、床に固定します。磁場センサーは装置の鏡筒に近い試料室付近に設置します。磁場センサー部分でもっとも磁場が少なくないように、X,Y,Z軸のケーブルに電流が流れ、リアルタイムの磁場の変化にも追従します。
TEM/STEMの場合のケーブルの設置
TEM/STEMの場合にも考え方は同様ですが、鏡筒の長さがFIB/SEMに比べて長く、磁場の影響を受けさせたくない場所も、試料に電子線が入射する場所から、EELSの分光器の部分にまで広い範囲に及びます。このためFIB/SEMのように磁場センサーを1箇所だけに配置すると、その場所が最適条件になり、試料の部分からEELSまでを効率的にカバーすることはできません。 このため、TEM/STEMの場合には、2つの磁場センサーを使うことで両方のセンサー位置に対して最適な磁場の状態を作り出します。又、同じ理由でルームケーブルもX,Y,Z各軸に対して2本ずつのケーブルを使用することにより、ケーブル1本当たりから出す磁場を小さくすることで、効率的にキャンセリング効果を発揮させます。
クリーンルーム内の搬送系から発生する9kHzの磁場対策
クリーンルーム内の搬送系ロボットからは常に9kHzの磁場が発生しており、これがSEMやFIB/SEMへの障害となっています。SC20Fastは通常の装置でキャンセリングしきれない9kHzの磁場に対して有効な装置です。